
早食いさせてるのは飼い主の方?
食欲は健康状態を判断する一つのバロメーターでもあります。
食欲旺盛だとなんだかホッとしてしまうのは、きっと「健康なんだな、よかった。」と思うからかもしれません。
「食べてくれると安心。」ではありますが、それで心配事がなくなるわけではなく、新たに食事に関して気になることや心配なことが尽きないですよね。
今回はそんな中でも、食べるときのスピードについて、取り上げます。
もちろんそれぞれ個性がありますが、「うちの子早食いなのよね…」とおっしゃる飼い主さんとお話ししていると、大体の飼い主さんがそのことを心配しておられると感じます。果たして、早食いは癖なのでしょうか?もしかすると、「早食いをしてしまう環境を飼い主さんが作っている」ってことはないでしょうか?今回は「早食い」をテーマを取り上げたいと思います。

体の構造上、早食いは仕方ない?!
そもそも犬の口は人の様に食べ物を咀嚼して食べるという構造をしていません。
人の歯は食べ物をすりつぶすのに向いている平たい形状がほとんどですが、犬のたちは獲物の生肉を食いちぎる為に歯が尖るように発達し、咀嚼せずに飲み込むと言う仕組みになっています。
ですので基本的には食べ物は飲み込むのが得意と言う訳ですね。
ただ、犬の体の構造上飲み込むものだから気にしなくて良いかというと、そう言うわけにはいきませんね。
なぜなら元々の犬たちがしてきた食事内容と現在の食事内容が大きく違うからです。
食事内容が変わっていることも含め。早く食べすぎることで体への影響があるのも事実。
まず、どんな影響が考えられるかみてみましょう。

だって生きるために食事は必要だもの
犬たちは仲間と共に生活をする生き物であることは皆さんご存知かと思います。
私たち人と暮らしていれば食事が用意されるわけですが、犬たちだけで生きていく場合は食べ物を得るだけでも一苦労です。
そして、やっと手に入った食べ物は他の仲間たちと平等に分けると言うよりは早い者勝ちで食べていきます。横取りされることも起きます。そうすると生きるために必要な栄養が取れなくなるので、真剣に食事をするわけですね。
そして、食事中はどうしても周りへの注意が散漫になるので、外敵から狙われる可能性も高くなります。
つまり、取られまいとすることも、外敵に隙を与える時間を少なくすることも、どちらも早く食事することで防ぐことができると言うことですね。

早食いって健康に影響するの?
<窒息・誤嚥>
先述しましたが、飲み込むのに適した構造になっているため、一口で丸呑みも珍しくはないので、食べ物の大きさや食べ物が水分を含むことにより膨張するのかどうかも知っておくとさらに気を配ることができますね。
のどに詰まると、窒息する恐れもあったり、誤って食べ物が気管へ行ってしまい、誤嚥による肺炎を発症する可能性もあると聞くと注意しておきたいですよね。
<胃への負担>
一気に大量の食べ物が胃に入ってくることで、胃が拡張し、嘔吐や消化不良を引き起こします。
また、よく聞く「胃捻転」と言う症状がありますね。
詳しい原因は明確にはされていないものの、なんらかの原因で犬の胃の中にガスが溜まることで胃が膨れあがり捻れてしまう病気です。
血液が循環しなくなったり、膨らんだ胃が周りの臓器を圧迫するため、すぐに手術が必要になる、とても危険なものです。
特に中・大型犬によく見られ、食後に起きることが多い傾向もあるようなので、こちらも注意したいですね。
<歯への影響>
犬の唾液にはバクテリアやウイルスの繁殖を抑える抗体などがあり、歯垢や雑菌の繁殖を抑えてくれる働きがあるそうです。
早食いで唾液が口に行き渡らないと雑菌が繁殖し、歯石となって歯周病を発症しやすくなるといった可能性もあるそうです。

食事しやすい姿勢を考えたPECOLOのFOODSTAND
<食器を工夫する>
勢いよく食べる場合、その勢いで周りにフードが飛び散ってしまうことにより、そっちも気になって余計に早くなってしまう場合があります。
また、低すぎる姿勢で食事をする際には前足にとても力を入れながら踏ん張っているので、体への負担はもちろん、前に滑っていくこともあります。
PECOLOのFOOD STANDは、そういったお悩みを解決できるようフードスタンドの高さフードボールの組み合わせがさまざまにできるため、それぞれの体型や食事の仕方に合った食事姿勢に調整ができるので、食べる時の器の高さを見直してみたり、器の深さなどを変えてみることで飛び出してしまうのを軽減できることもあります。
他に早食い対策を目的とした形状の食器もありますね。
なかなか食べられないことへのフラストレーションが溜まりぎないように、様子を見ながら使用することが大切であることを忘れないようにしたいですね。

早食い防止は工夫あるのみ!
以上のようなリスクを知った上で、どんなことが対策としてできるのかをみていきたいと思います。
<フードの与え方を工夫する>
小分けにすると言う方法です。
1回の食事量を3、4等分にして食べ終わったら次の分を入れてあげるようにして、1度に胃へ入る量を抑えることで負担を減らす目的です。
<環境を工夫する>
食事をする際に周りが騒がしいと、その影響を受けた興奮から早食いになっていることもあります。
多頭で暮らしている場合は、先述したように「早い者勝ち」になり、早く食べ終わったほうが、まだ食べている方にプレッシャーをかけることがよく起こります。
(奪っちゃうこともありますね)
そうすると、やはり相手より早く食べ終わらなければとどんどん早くなっていくので、誰かに取られる心配がないような環境にしてあげるのも大事ですね。
余談ですが、家に迎えるまでの間に、他の犬たちと同時に食事をとっていた場合や、自分で食べ物を得る暮らしをしていた場合も、早く食べる犬たちが多いように感じます。
そんな時もやはり環境を整えるところから始めたいですね。
また、小さいお子さんがいる場合は、どうしても犬への興味から食べているところに寄って行ったり、触ったりなどするかと思います。
そして、食事中にジーと見つめたりするような動きも犬からすると「取られるのでは?」と思ったり「食べてる時は放っておいてほしい」と言う気持ちになりやすく、ささっと食べてしまおうとなることもよくあります。
ですので、この場合もやはり落ち着いて食事ができる環境を用意してあげることが最優先ですね。
<ご飯の内容を工夫する>
ドライフードの場合は詰まってしまったり膨張を軽減するために、完全にふやかしてからあげる方法もありますね。
またウエットや生食など咀嚼をたくさん必要としない状態になっている食べ物に変えることで、体への影響や心配になる負担を軽減できるかもしれません。

食事するまでの行動がポイント!
以上のようなことを見直すのと同じように、食事までの行動も見直してみます。
ご飯の準備を始めると興奮して大騒ぎなんてことはお悩みとしてもよく聞きますし、テレビやSNSなど様々な場面で目にします。
この状態でご飯を出せば、当然落ち着いて食べ始められるわけがないですよね。
また待たせてから「よし!」などの「もう食べていいよ」の合図までが長すぎる場合も、ご飯への期待がどんどん増していき、興奮が高まった状態で食べ始めることにつながります。
「なぜ興奮するのか?」というところを掘り下げて考えてみると、こういった時に私たち人の行動が影響していることは意外と多くあります。
ですので、興奮状態に持っていかないような行動を人の方でも気をつけることを意識してみるのもとてもおすすめです。
自分がどういう行動をすればご飯が出てくるのか、賢い犬たちはいつもよく見ています。

食いしん坊じゃない!早食いは環境次第。
ただただ食いしん坊というわけではなく、様々な理由が早食いにもあるということを踏まえて、大切な愛犬が快適に食事ができるサポートをしてあげたいですね。
※専門家の判断と共に取り組む必要がある場合もありますので、ご心配事がある時は信頼できるプロの方にご相談くださいね。