今回の犬種特集は、輝く白い絹のようなコートが特徴的なマルチーズを取り上げたいと思います。
その名前からもわかるように、地中海にあるマルタ共和国にあるマルタ島原産という説が有名ですよね。
が、これはある説がさまざまな形で変化して伝わったものであり、実際の見解は少し違うようです。
マルチーズの歴史は世界が関係している?!
マルチーズは、紀元前1500年頃からの歴史を持つと言われています。
先述のように、原産国がマルタ共和国なのではなく、最も有力なのは現在のレバノンがあるあたりに都市国家を築いていたフェニキア人が海洋貿易を主にしていた民族であったため、彼らの海洋貿易の中継地点であった地中海のマルタ島に、なんとアジアから持ち込まれたものではないかというもの。
マルタ島
余談ですが、世界中にさまざまな犬が広がっていったきっかけの一つに、このように船に人と一緒に乗っていたことが関わる話が意外と多いのも事実です。
船に乗っている誰かのペットということもあったでしょうが、当時は犬を船に乗せる行為は、げん担ぎ的な役割も多くあり、無事に到着したら一緒に連れてきた犬はその土地に放し、また戻るときはその土地の別の犬を連れて帰ったり(知らない間に勝手に乗った犬もいたと思います 笑 )などのやりとりの中で、異国の犬種との交配によりまた新しい犬種が生まれていったという背景もあります。
さらに余談ですが、イソップ物語にはマルチーズと思われる犬が2度登場しており、長旅や船の船員たちにとってのコンパニオンドッグであったということが読み取ることができ、この時代すでにマルチーズのような犬種が広く一般的だったのだと想像できます。
話は戻り、やがてシシリア島をへてヨーロッパ各国に広まっていったようです。
フランスでは15世紀ごろから婦人の愛玩犬となっていたとされ、イギリスへは19世紀になってから広まっていったのだとか。マルタ島がイギリスの属領となったのは1813年以降ということを考えるとじわじわと広がっていった感じがしますね。
そして、ビクトリア女王もマルタ島からこの犬を取り寄せたとされ、マルチーズの愛好家であったと伝えられています。貴族を虜にし、そのことが一般市民の知るところとなり、19世紀末に大流行し人気犬種となっていきました。
タイトルにある「犬界の貴族」と呼ばれる所以はこういった話から来るのでしょう。
このような背景もあり、1800年代中ごろから1900年代初頭にかけて、マルチーズの分類についてなんと議論が起きたのだそうです。
その中で興味深いと感じたのは、当初体の大きさなどからテリアのグループに属すると考えられおり、なんとテリアのようにネズミの捕獲にも実は優れていたのだとか!!
たまに意外と機敏に動く姿に驚くこともありますが、そういった古い時代の名残があるのでしょうか。
その後、被毛の状態からスパニエルでは?という意見も出ましたが、結局そのどちらでもなく、何かしらの関係を確認できる情報は今のところないようです。
こういった歴史などを踏まえると、マルチーズの名前は「マルタ島を由来とする犬種」という意味で考えるのが自然に感じますね。
ちなみに、国際畜犬連盟(FCI)による原産地は、中央地中海沿岸地域とされています。
ルーツがどうであっても、彼らの魅力が変わるわけではないですが、どんな経緯で今があるのかをもっと知りたくなりますね。
マルチーズの体や毛色の特徴
ここからは彼らの体の特徴をみていきたいと思います。
※犬種については、ジャパンケンネルクラブ(通称JKC)という一般社団法人によって定義付けが行われていますが、今回はそこで公認されているサイズや毛色などをご紹介いたします。
[サイズ]
体重 3.2kg ~2.5 kg
[毛色]
白が有名ですが淡いタンやレモン色と判断される色もあります。
[コート(被毛)]
マルチーズの輝く白い絹のようなコート。そんな特徴のある被毛はシングルコートで毛は抜けにくい犬種ですね。
動くたびに本当に絹の糸が揺れるように輝く長い被毛が特徴的ですが、カットによって短くするスタイルにすることで、その長さによっては紫外線や熱を受けることによって皮膚への影響が出るため、トリマーさんや獣医さんと相談しながらスタイルを決めていくのが安心ですね。
気をつけてあげたいことはたくさん
一緒に暮らす上で大切なことはお手入れ以外にもたくさんありますが、元気に走り回っていても実際はちょっとした段差なども彼らにとっては大きな障害物となるため、段差を狭くしたり、家の中で滑りにくい対策をしたり、休息しやすいように快適さを整えてあげることは当たり前ですが、年齢ごとに見直すことも大切ですね。
そして毎日のことだからこそ食事内容や姿勢に関しても、未来のことまで見据えて1日でも長く元気で一緒に過ごせるよう、できる限り気を使ってあげたいものです。
また、食事時やお水を飲む時など、その特徴的な毛が下を向きすぎることによって下がってくるので、目や口に入ったり汚れたりと不快なのと衛生的に心配な面もありますので、食器自体の高さを上げて毛が下がりにくいようにしてあげたりなど、できるサポートはしっかり行いたいですね。
Pecolo Foodstand S / Sea Green. (Limited color)
大切なケアは嫌いにならない工夫を
先述のように、綺麗にその状態を保つには、まめなお手入れが欠かせません。
マルチーズは、カットせずにいると地面に裾を引きずるほど長く被毛が伸びます。
また、静電気によって毛玉もできやすくなるので、日々まめなブラッシングは欠かせません。
お散歩から帰った後や、遊んだ後、洋服を脱ぎ着した後も毛玉ができやすい場面なので、そのあとはブラッシングをしてあげると毛玉ができにくくなります。
このブラッシングは毎日欠かせないことから、強引にやったり嫌な印象がつかないように取り組むことをおすすめします。
また目の周りのお手入れも大切です。
涙やけの原因はさまざまにありますが、まずは日頃のケアによって少しでも緩和できるようにしてあげたいものですね。
お手入れについてはさまざまな方法がありますが、犬には理由がわからないことですがやらなければいけないことなので、できるだけ犬が協力してくれるような方法を取り入れられるとお互いの負担が少なくて済みます。
小さいがゆえに、少し強引でもいろんなことをやってしまうことができますが、小さい体で怖いと思っていることや不安などいろんなメッセージを伝えてくれています。
そして、ついつい手を焼いてあげたくなりがちですが、忘れてはいけないのはマルチーズも「犬」であるということ。
一方的に可愛がるだけでなく、彼らのメッセージを見逃さず、彼らが犬としての満足感を得られるようなものを提供できるように日々取り組んでいきたいものですね。
詳しい方法は信頼できるプロの方にご相談してみてくださいね。
また、今後も様々な犬種を取り上げていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!
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