動物たちに無理をさせない撮影現場
前回の動物に無理をさせない撮影現場(前編)の続編をお届けします。
管理も大切なお仕事
前回ご紹介した通り、一家庭犬ではありますが、お仕事の現場ではプロとして扱われるわけです。ですので、スタジオマナーも心得てお仕事します。
・首輪、ハーネス、リードの管理
・吠え
・待機
・トイレ
・抜け毛
などなど、撮影をする上で気をつけないといけないことがたくさんあります。
こういったことも、ただダメ!と言って失敗したことを叱る方法や、閉じ込めたり縛り付けるような方法ではなく、どうしてほしいかをわかりやすく伝えて、成功するように環境設定し、できたら褒めるを繰り返し練習し、現場での実践に繋げます。
ハンドラーが忘れてはいけないこととしていつも思うのは、現場は仕事場であってお家ではないということです。犬にはどっちだって関係ないことですが、ハンドラーとしてはそこを頭に入れた上で、どのように振る舞うべきか、どのように自分の犬をサポートするかを判断する必要があると思っています。
撮影に向けたトレーニングで大切にしていること
「いかなる事情があろうとも、タレント犬のトレーニングは人道的でなければならない。」ということを念頭に置いています。
ですので、物理的に体を動かして教えるといったことも、できなかったら叱りつけると言った方法ではなく、犬たちが協力してくれるように日々コミュニケーションを取るようにしています。だからといって「言い聞かす」「目を見て一生懸命伝える」などといった犬によくわからない方法ではなく、科学的な方法を取り入れて行っています。
犬にやってほしい行動を伝えるためにはどうしたら良いか?を考え、まず道筋を立てます。
そして成功できる環境を設定し、成功を経験してもらいます。
成功を経験すると、自信がついていきます。
これは科学的なことからの延長ではありますが、自信がつくとその行動をやるにあたって迷いが少なくなっていき、自信があることによってハンドラーが細かく管理せずとも、自分で考えて行動できていくようになるという大きな効果があると感じています。
犬たちに協力してもらえるように進めれば、何も厳しく言う必要なんてありませんし、自分たちから動いてくれるようになるので、現場では厳しい言葉が飛び交うこともなく、そしておやつを見せながらいわゆる「エサで釣る」ことも必要ないわけです。
現場では「いいこ」がたくさん!
トレーニング中はもちろん、撮影現場でも「いいこ」という言葉をよく使います。
これはただかわいくて褒めているというわけではありません。
「それ、正解だよ」ということを伝えるために使っています。
ですが、いきなり「いいこ」と言っても犬にはなんのことやら?になるので、「いいこ」の意味をお互いの共通言語として作る作業が必要ですが、この意味が通じるとコミュニケーションの取り方が本当に変わります。
なんで「いいこ」?
甘やかしているわけでもなんでもなく、今してくれている行動が合ってるよと伝えているだけなのですが、これがとても効果を発揮します。
この言葉を知っている犬たちは、安心感を得やすくなると実感しています。
そういうコミュニケーションを普段からとっていないとできないことですが、できるようになると少しいつもと違う環境でも、「あ、これで大丈夫なんだな」と安心しやすくなるので、お互いにとって気持ちを楽に持てるため、日常生活はもちろん、タレント犬トレーニングでも大切な言葉だと思っています。
トレーニングは厳しいもの?
タレント犬をはじめ、パピートレーニングやいわゆる上級クラスなど様々なクラスを行う中で、とにかく大切なのは「楽しく」です。お祭り騒ぎで盛り上がることとは違うのですが、やはり、「できた!」「これ知ってる!」の気持ちがたくさんあるとやはり楽しくなりますよね。
あとは、「何それ?やってみたいかも!」と思ってもらうことも大事にしています。
これは犬だけに限ったことではなく、飼い主さんにも同じ気持ちを感じてもらうのも大切なことだと思っています。
動物第一主義。PECOLOのこだわり
撮影中に無理をさせないのはもちろん、それまでの取り組みも無理をせず進めていることはとても重要だと考えています。だからこそ我々スタッフはもちろん、一般家庭のトレーニングをしている犬たち、配慮をしながら前向きに進めてくださるカメラマンとの連携した撮影が大事だと考えています。
PECOLOではペットのことを第一に、人との共生を意識したプロダクトを作ることとあわせて、動物たちのこと、一緒に暮らす人のこと、関わる環境のことなど、もっと大きく広く目を向けて、それぞれにとって良いものを作っていきたいと考えています。
撮影した作品はまだまだたくさんあります!
インスタグラムにて順次公開されますので、どうぞ楽しみにご覧ください。PECOLOのインスタグラムはこちらです。
上原 愛裕美 ドッグトレーニングインストラクター D.I.N.G.O.認定インストラクター/A.D.I.C.T PROスペシャリティ(クリッカートレーナー)/FDET(タレント犬評価試験)ジャッジ 人道的かつ科学的なフェアトレーニングをもとに、人も動物も楽しんで取り組めるようなトレーニング手法をご提案している。 https://dingo.gr.jp
※本ブログは、大切な家族が、いつまでも健康でいてほしい。そう願うすべての方にご提案しています。個人の考えや、個体差がありますのでご参考程度にご覧ください。
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