個性を尊重し合える関わりをめざして
- clpjpn
- 2022年6月6日
- 読了時間: 6分

PECOLO Food Stand LL tall / Ivory
関東は梅雨入りしましたね。
早いなぁなんて思ったのですが、平年より1日早い梅雨入りなのだそうで、そんなに特別早いわけではありませんでした(笑)
さてさて、みなさまは「The Yellow Dog Project(イエロードッグプロジェクト)」という言葉をご存じですか?
これは2012年にスウェーデンのグループが始めたとされる運動で、犬のリードに黄色いリボンをつけることで、「この犬とは距離をあけていてほしい」「この犬のことはそっとしておいて」ということを周りの人に伝えるというものです。
この運動にはとてもたくさんの賛同があり、いまでは欧米をはじめ世界中に広がりつつあります。
日本でも少しずつ見かけることが増えてきたものの、まだまだあまり知られていないと感じる場面もよくあります。
距離が必要だというと、「犬が攻撃的だから近づかないでほしい、ということですか?」と聞かれることも少なくありません。
(ちなみに攻撃的といっても、その反応が出る前にさまざまな段階を経ているということも頭に入れておきたいポイントです。)
なぜ距離をあける必要があるのか

PECOLO Paper Holder / Cacao
PECOLO Toilet Tray Regular size / Cacao
PECOLO Food Stand S-tall / Cacao
距離をあけてほしいという理由について、先述のように攻撃的という限定的な理由ではなく、根本的な距離による影響を知っておく必要があると考えています。
犬たちをみていると、距離ができることで気持ちが楽になるという印象を強く受けます。
距離をあけてくれると楽になる理由
それまでの経験により他犬や他人が苦手、あるいは興味を持ちすぎるといった犬の場合、距離が確保されていないと、自分で気持ちを落ち着かせるのが難しくなります。
なので、特に苦手だと思っている場合は、なんとか落ち着くための距離をとってもらうよう相手に伝える手段として、「動き回る」「吠える」「(何かを)噛む」などの大きい行動が出ます。
結果的に相手が離れた手段が今後の対処法として採用されていきます。

こういった行動をすることでその犬自身を興奮をさせてしまうこと、そしてそうしないと距離をとってもらえないということを学習し、その手段しか取れなくなっていくことは暮らしていく中で相当しんどいだろうなと思います。
逆に距離ができることで、その犬の気持ちが楽になることが多いです。
興奮は良くも悪くも負担がある
この数年でよく聞くようになった「ディスタンス」。いわゆる「距離」ですが、犬たちも距離によって相手とのコミュニケーションをはかっています。
私たち人も相手によって、また状況によって居心地良くいられる相手との距離と、相手によっては落ち着いていられなくなる距離などさまざまにありますが、犬たちも同じように状況や相手によって落ち着いていられる距離というのが変わります。
観察していると実に細やかに変わるので、すごいなぁといつも感動します。
大体は近すぎることで良くも悪くも興奮度が上がることが多いです。
「興奮するというのは、ホルモン分泌が起きることにより、心臓の収縮力と心拍数を増やし血管が拡張したり血糖値が上がるなどの身体的な影響と、神経を通じて脳に影響することから引き起こる状態になっている」と(大まかですが)説明されると、これは負担が大きいのだろうなと思いますよね。
なので、落ち着いていられる距離というのを飼い主さんが把握してあげていることももちろん大事ですし、相手の犬のためでもあり、自分の犬のためにもまずは距離をとるという判断で動けるとそこに関わるみんなが楽になるだろうなと思います。

※愛犬のさまざまな距離感の判断が難しかったり、愛犬のサインを判断するのに困った時は、迷わずぜひ信頼のできるプロの方にご相談してくださいね!
犬たちの個性を尊重し合えるコミュニケーションをめざして
散歩の途中などでほかの犬と出会ったときには、自分の愛犬とのご挨拶をする光景はよく目にします。
そこに関わる犬も人もご挨拶を望んでいて、無理がなければそれは誰にとっても楽しい時間になるでしょう。
それぞれがどう思っているかはご挨拶のタイミングがきた時に、
「この子は今ご挨拶したいのだろうか?」
「誰にご挨拶したいのだろうか?」
「相手の犬はどうだろうか?」
「相手の飼い主さんはどうだろうか?」
などなどを落ち着いて確認できると、新たなコミュニケーションの形ができていくと思います。
個人個人の個性を尊重することを大事に考えるという取り組みが多くみられるようになってきたと感じます。
身体的特徴や得意不得意など他の人とt違うということを個性として尊重しようという考えはとても素敵だなと思うのですが、そういった見方を犬たちにも向けられれば犬や犬と暮らす人たちももっと暮らしやすくなるのではないかと思います。
「他の犬が苦手」「他の人が苦手」「お家の中は得意」など、「うちの子はみんなと違う」これはまず個性として捉えたいです。
苦手なものは好きにならなくても良いと思いますが、暮らしやすくなるようなプログラムを組み立てて実行するお手伝いをさせていただく時も、やはり個性を尊重しながら進めていくことを大切にしています。

相手が犬であっても人であっても、それぞれが関わりたいと思っているのかどうかはとても重要だと考えています。
どちらかが望んでいなければ、関わらずにいることが相手への敬意ではないかと考えているからです。
リボンがあるかどうかを確認することもそうですし、リボンがあってもなくてもまずは相手の飼い主さんと犬の様子を距離を保って確認する、というのが当たり前の光景になるととても素敵ですよね。
個性というところから、今回は距離だけについてご紹介していますが、長くなるのでかいつまんでいるのと、他にも個性として尊重していきたいことがたくさんあるので、また次の機会にご紹介させていただきたいです!
犬のことを大切に思うからこそ、どの犬たちも暮らしやすくなるように、その犬の個性を認めてお互いに尊重しあえるととても素敵だなと思います!
上原 愛裕美 ドッグトレーニングインストラクター D.I.N.G.O.認定インストラクター/FDET(タレント犬評価試験)ジャッジ/A.D.I.C.T PROスペシャリティ(クリッカートレーナー)/ TAG Teach Level1
犬多めですが・鳥・猫・うさぎ・ねずみなどのトレーニングを通して人道的かつ科学的なフェアトレーニングとは?と常に考えながら、動物も人も楽しんで取り組めるような情報と方法をお伝えしています。
また、犬を迎える前に知っておくだけでその後の暮らしに備えられ、犬の魅力をより味わえるような内容をお伝えするプレオーナークラスにも力を入れています。 https://dingo.gr.jp
※本ブログは、大切な家族が、いつまでも健康でいてほしい。そう願うすべての方にご提案しています。個人の考えや、個体差がありますのでご参考程度にご覧ください。
Comentários