それ、本当に喜んでる?愛犬への褒め方について
犬や猫は家族同然という考え方は近年とても一般的になりましたね。
昔は外で生活し、人とは付かず離れずの暮らしをしていた時代から、人と家の中で生活するという大きな生活スタイルの変化を遂げてきていますが、そんな犬との接し方についても生活スタイルが変わるのと同様に様々な説が目まぐるしく登場しています。
犬との接し方に関して大まかにまとめると、「厳しく。毅然と。威厳を持って。」
という考え方が主流だったところから、「家族である。優しく。褒める。」といった考え方も広がりました。
今回は、この中の「褒める」について見ていきたいと思います。
褒めるってどんなこと?
まずは、褒めると聞いて思い浮かぶものはどんなものがあるか見てみます。
・「よ〜しよし!」と声をかける
・「いいこ〜」と声をかける
・「よ〜し!」と言いながら顔や頭を撫でる、体を軽くポンポンと叩く
・おいしいものをあげる
ざっとですが、こんな感じが多いかなと思います。
どれも犬に良い評価を下しているので問題なし!
と、終わらせてしまうとなんだか一方的な感じがしませんか?
そこで、もう少しこのテーマを掘り下げてみたいと思います。
「いいこ」という言葉の意味を本当に理解しているのか?
当たり前のことですが、犬たちは私たち人間の言語を知りません。
私たちも犬の言語を知りません。
巷では「犬が良いことをしたら褒めましょう」というアドバイスはたくさん聞きますが、どうやって褒めるのか、褒めるとはどういうことなのかまでは実はあんまり教えてくれていません。
ですので当然、褒めるとなれば人間の子供にするような褒め方になるのだと思います。
先述しましたが、犬たちは私たちの言語は知らないので、いきなり「いいこ」や「よ〜し」と言われてもきっと「なんのことやら?」でしょう。
褒め言葉ってなに?
では「いいこ」の言葉の意味がわからない犬たちはどう理解しているのでしょう?
おそらく、その言葉のあとに起きていることで判断しているはずです、
例えば「いいこ」と言って毎回おやつがもらえるなら、「いいこ」はおやつが出る合図としてきっと理解しているはずです。
なので、おやつをあげるのを忘れてしまったときは頭の中が「???????」と、こんな風になっているでしょうね。
「いいこ」や「よ〜し」と言ってから顔や頭、体などを撫でられるなら、「いいこ」は慣れられる前の合図としてきっと理解しているでしょう。
だとすると褒め言葉という理解はしていないかもしれません。
さらに、この「いいこ」や「よ〜し」と言ってから撫でる時、犬たちの様子をよぉく観察するとこんな仕草をよく見ます。
・頭を触ろうとすると手を避けたり頭を下げる仕草をする
・撫でようと手を伸ばすと離れようとする
・撫でてもすぐにどこかへいこうとする
こうやって書き出すともうお分かりかと思いますが、そう、嫌がっているんですね。
つまり、その状況は喜んでいないということです。
「いいこ」という言葉の後、自分に何が起きるかを常に見てからこの場合は自分にとって「良い、いいこ」、「悪い、いいこ」のような判断が行われていると考えています。
誰のための「褒める」なの?
つい「褒める」という言葉の響きに引っ張られて、良いことをしたような気になり満足してしまうので見失いがちですが、犬たちの目線で考えると、私達が思っている意味と違った言葉になっていることもあるのではないでしょうか。
実際、撫でていたら犬が離れそうになるので体を掴んだり強めに挟むようにしながら撫でるといった動作が無意識にも人間側に起きているのをよく見かけます。
どこかで彼らが嫌がっているのを感じながらも、やってしまっているのかもしれませんね。
触られるのが好きかどうかも大事なポイント!
触られることが元々好きではない犬たちもいます。
そんな彼らが「いいこ」や「よ〜し」の後に撫でたり触られたりすることで、その言葉は嫌なことをされる合図になっているのではないかと考えます。
その上さらに体を掴まれたり、拘束されるようなことが起きればどんどんその犬たちにとってよくない言葉になっていきますよね。
もちろんわざと嫌なことをしてやろうなどの意図は全くなく、嬉しいことや喜んでいることを伝えたいだけなのですが、犬たちはそうは感じでいないという、なんとも切ない状況だと感じます。
そして、褒めるという言葉がどうしても評価を下しているような上からな感じですが、そうではなくて「それいいね」とか「それそれ!」など、もっと犬たちがやったことへのお返事として捉えると使い所や対応が変わってくるのではないでしょうか。
触ってほしい時は間違いなく嬉しい!
というわけで、これからは褒めたり撫でるのやめましょう!というのではもちろんないです。
撫でてほしい時に私たちが撫でてあげるのは犬たちの希望が叶ったわけですし、何より気持ちが伝わった安心感も相まって、これはもちろん嬉しいことです。
つまり喜ぶことになりますよね。
理解が深まるコツは観察すること!
撫でようとすると犬たちが触られるのを避けた後、またグイっと前に出てきたりすることがあると思うのですが、あれはきっと本来望んでいることを改めて伝えるためだと感じます。
食べ物を望んでいる、お外に行きたいなど、犬たちからの「そうじゃなくって!」のメッセージだと考えるとなんともいじらしいです。
本来のコミュニケーションとは双方の意図を汲み取ることではないでしょか?
一方的にこちらから与え続けるのではなく、相手からのメッセージも受け取れた時の嬉しさはとても深いといつも思います。
大事なのはTPOを見極めることだと考えています。
日々観察をしながら、今ご愛犬が本当に望んでいること、ほしいものは何なのかを判断して提供することを極めていけば、ご愛犬からの信頼度はとても高くなっていくはずです。
せっかく一緒に暮らしているのですから、さらにお互いの理解を深めていきたいですね。
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