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ごはんを食べる前の「マテ」は必要?


ごはんを食べる前の「マテ」は必要?


「マテ!」「マテよ〜」「ヨシっ!」

毎回食事の時間になるとこれをやってから食事を始めるのだけど、なかなかうまく行かないとご相談を受けることがよくあります。


なかでも、できる時とできない時があると言ったお悩みが多いように感じます。

みなさんのご家庭ではいかがでしょうか?


そこで今日はこの「マテ」について掘り下げてみたいと思います。



ご飯の前に待たせるのは「マテ」ではない?!


できる時とできない時があるように、その合図に対して反応が変わってしまうのは、様々な理由がもちろん考えられますが、そのうちの1つには、「マテ」が実はよくわかっていないという場合もあると見ていて感じます。


ご飯を前にして「マテ」と言われたらいつまでも待つことができると、賢いイメージが一般的にあるように感じます。

ですが、ご飯を食べる前の「マテ」、これは食べ物を前にした『おあずけ状態』です。

おあずけなので、食べ始めてから「マテ」と言ったらその犬は食べるのを待ってくれるでしょうか?


ちょっと見る角度を変えて、例えばご飯を「ヨシ」と言われるまで待てる犬が、お散歩中にリードが離れてしまい駆け回っている時に「マテ」と言われて走るのを止めるのかどうか?というのも興味深い結果が出そうです。


ご飯の前に待つというのは、「食べ物が目の前にある」という、とても大きな条件がある時に「ヨシ」が出てから食べ始めると条件付けになっている

こう考えた上でそれぞれの状況で使ってみるとご愛犬がどのように「マテ」を理解しているのかが見えて来るかもしれません。



「マテ」は1日にたくさん使う言葉


ここで考えたいのが「マテ」という言葉をご飯の前だけでなく、日々いろんな場面で使っていますよね。

まずは思いつくものを挙げてみます。


  1. オスワリしたら「マテ」

  2. オイデと呼んで来たら「マテ」

  3. おやつを持った手を犬の顔の前に近づけて「マテ」

  4. 何かに向かって走り出そうとしたら「マテ」

  5. フセした犬から離れるときに「マテ」

  6. 撫でたい時に「マテ」

  7. お散歩から帰って足を拭くときに「マテ」


などなど、実に様々な状況で使っていますよね。


こう見ると、何か気づきませんか?

そうなんです、ご飯の前の「マテ」と違う状況がたくさんありますよね。



「マテ」の状況がそれぞれ違う


「マテ」という言葉に囚われてピンと来づらいので、先程あげた「マテ」のそれぞれの状況を具体的にみてみたいと思います。


  1. 座る姿勢を崩さないでね

  2. すぐにどこか行ってしまわないでね

  3. 「ヨシ」っていうまで食べないでね(ご飯の前と近いですね)

  4. 走っていかないでね

  5. ついてこないでね

  6. 私がいいって言うまで触らせてね

  7. 終わるまで家に入らないでね


と、このような意味を込めて使っているのではないかと想像します。



全部否定系、と言うのが共通していますが、つまりどう言うことが言いたいのかがわかりにくいです。ですので、これを整理してみます。


  1. 座ったままでいて

  2. そばにいてね

  3. 「ヨシ」って言ったら食べていいよ

  4. そばにいてね

  5. 座ったままでいてね

  6. 大人しく触らせてね

  7. じっとしていてね


ここまで短くしても人間でやっとニュアンスを汲み取ることができるギリギリのラインの表現なので、彼らに伝えるにはさらに掘り下げる必要がありますが、このように分けて見てみると、言葉は「マテ」1つなのに、その意味が状況によってあまりにも大きく違いますね。


これをその時々で様子を伺いながら判断しないといけない犬たちは、かなり大変です。

理解したくても、毎回状況と意味が違いすぎるので、どうすると正解なのかが結局よくわからないはずです。

それでもやってくれるのは、「これかなぁ…?」と伺いながら求められていることを一生懸命に考えているのでしょうね。


そんな犬たちの能力に少し甘えすぎているのかもしれません。


そもそも人の言葉がわからない彼らにそこまで求める必要はないのかなぁなんて思います。犬たちは賢いですから、明確にこちらが都度言葉を使い分けさえすればちゃんと理解してくれます。



「マテ」をわかりやすく使おう


食事を勝手に食べ始めないで欲しいのは、早食いを抑止したり、異物混入を確認するためなど安全管理での意味では必要だと考えています。

ただ、『長く待てることが良いことである』と言うのは理由があいまいで定かではありません。


以上のことから、「マテ」の言葉をいつ、どういう意味として使うべきか、私たちはもっと明確にするべきですし、わかりやすく伝えるべきだと考えます。

もっと彼らにとってわかりやすものは何かを常に意識しながらお互いに歩み寄るように過ごしたいですね。




 

上原 愛裕美 ドッグトレーニングインストラクター D.I.N.G.O.認定インストラクター/A.D.I.C.T PROスペシャリティ(クリッカートレーナー)/FDET(タレント犬評価試験)ジャッジ 人道的かつ科学的なフェアトレーニングをもとに、人も動物も楽しんで取り組めるようなトレーニング手法をご提案している。 https://dingo.gr.jp


※本ブログは、大切な家族が、いつまでも健康でいてほしい。そう願うすべての方にご提案しています。個人の考えや、個体差がありますのでご参考程度にご覧ください。

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